よい子のQP童話「お友達の咲く庭」
ある日、ジョンぴーがお散歩していると、運河のほとりで酒瓶と一緒に眠りこけている人がいました。
輝くような金髪で、なんと背中には羽根がはえています(「壊滅的にヘタな絵だからわかんねーだろうけど、羽根だからなっ」byロジャぴー)。
「コスプレ宴会の帰りかな?」と思いましたが、風邪をひくと可愛そうなので、一緒に家へ連れて帰ってあげることにしました。
とりあえずベッドに寝かせてあげましたが、まだまだ起きる気配がありません。目をさますのを待つ間、庭のお花たちに水をやりに行きました。
庭には、綺麗なバラがたくさん咲いています。このバラたちは、ジョンぴーの唯一のお友達でした。
「ずっと綺麗に咲いていてね」
ひとつひとつに水をかけてあげながらそう話かけるのが、日課なのでした。
「・・でも、本当は人間のお友達も欲しいなあ」
ジョンぴーはちょっぴり寂しくそうつぶやきました。
部屋に戻ると、さっきの人がソファに座っていました。目がさめたようです。
ジョンぴーを見ると
「よぉ世話かけたぜ!!」
と、可愛い顔に似合わないハスキーな声で言いました。
背中の羽根はまだつけたままです。よっぽどコスプレが気に入っているのでしょうか?
「・・あの・・背中の羽根、邪魔でしょう?はずすの手伝ってあげるけど?」
「へっ?何言ってんだ!!こりゃ自前だぜ」
「えっ(◎o◎;)」
「なんせ天使だからなっ」
(・・・まだ寝ぼけてるのかな??)
思わぬ話にジョンぴーは目を白黒させてしまいました。
ハスキーな声の「天使」は続けます。
「あっ!その顔は信用してねーだろ??天使連中であそこで飲んでたら、寝込んじまったらしくって置いてきぼりくっちまってよ」
「・・はあ」
「まっ、細かいことは気にすんなよ!!(作者も考えてないしよ)
そうだ!助けてくれた礼に、これをやるぜ」
と、「天使」が差し出したのは「長命酒」というラベルが貼られたお酒でした。
(うわっ、うさんくさ~~)ジョンびーは、ますます引いてしまいます。「天使」は、そんなジョンぴーの様子を気にする風もなく言いました。
「うさんくせーと思うだろうけど、まあ聞けよ!おまえ、友達がほしいと思ってんだろ??」
「・・ど、どうして知ってるの??」
「だからよっ!この酒を庭にまいてみな。明日の朝、とびきりのお友達が生えてくるぜ」
「・・人間のお友達なの??」
「まあな。でも、摘み取って部屋へ連れてくると、面倒たぜ。5分も寝かせとけば目がさめるけど、その時は・・って、もう行っちまったのかよっ」
人間のお友達が生えてくる
それを聞いたジョンぴーは、矢も盾もたまらなくなりました。天使から長命酒をひったくると、庭に飛び出してバラの木の根元にまきました。
「顔に似合わずせっかちだな、あいつ。注意事項も聞かないでよっ!!」
天使が呆れてぼやいています。
「まっ、いいか。いまさら説明すんのもかったるいしな」
細かいことを考えない性格の天使は、そのまま帰ってしまいました。
次の朝
ジョンびーが、どきどきしながら庭に出てみると・・
「あっ」
バラの花の中に、今まで見たこともないような綺麗な人が立って・・いや生えていました。キラキラした美しい目が、ジョンぴーを見つめています。
(・・これが僕のお友達??)
近づくと、「お友達」はジョンびーに向かってにっこりしました。
(うわ~可愛いなあ(*^^*))
本人は気付いていませんが、ジョンぴーの審美眼は世間のそれとはかなりズレているようです。
まっ、ともかくジョンぴーは、「お友達」をひと目見て大好きになってしまいました。
それから、しばらく夢のような日が続きました。
ジョンぴーは、1日のほとんどを庭で「お友達」と一緒に過ごしました。
「お友達」は言葉を発することはありませんが、ときどきうっとりするような美しい声で歌を歌います。それにあわせてベースを弾いているジョンぴーは、とてもとても幸せなのでした。
しかし、そのうち・・
ジョンぴーの心の中に、「お友達」と部屋のなかであんなことやこんなことをしたい(もちろんを食べたり、を飲んだり・・ですよ。何考えてました??)という気持ちが芽生えてきたのです。
「摘んで部屋へ連れていくと面倒」という天使の言葉を思い出して我慢していましたが、だんだん抑えきれなくなってきました。
そして、とうとうある日
「お友達」をハサミで摘み取って、部屋に連れてきてしまいました。
お友達はスヤスヤ眠っています。
(・・5分すれば目をさますって言ってたよね)
目をさますけど、その時は・・あああの後、天使は何と言っていたのでしょう? 今さらながら聞かなかったことを後悔しました。
「落ち着かないから、お茶でも入れてこよう」
ジョンぴーが、お茶を入れて戻ってくると・・
「げっ君はだれだい???」
驚いて思わず叫んでしまいました。「お友達」が眠っていたはずのベッドに、見知らぬもじゃもじゃ髪の男が立っていたからです。よく見れば、ギターを抱えているうえに、足元には本やパソコン。やたら荷物の多い男です。
「誰って・・君のお友達の本来の姿じゃないか。嬉しいだろう!!」
もじゃ髪男が、何故だかいばって答えました。
(ええーーっ(◎o◎;))
ジョンぴーは体中の力が抜けていく気がしました。
もじゃ髪男が、諭すように続けます。
「僕たちは、摘み取られると5分で本来の姿に変化するんだよ。天使から説明を聞かなかったのかい??」
「うっ・・それは」
慌てていて、天使の話を聞いていなかったとは言えません。
「童話にはよくあるパータンだね。蛙を壁に叩きつけたら、美しい王子さまに変身したとかね。今回はハサミで摘み取られて、知的なギタリストに変身したのさ。ルックスだってイケてるだろう」
返事に困っているジョンぴーを無視して、もじゃ髪男はティーカップに目をとめました。かなりKYなタイプのようです。
「これはいいカップだね。でも、カップの色が2つあるのは困るね。どっちを選ぶか悩んでしまう・・。そもそも、僕はね・・」
かなり、くだくだと喋り続けるタイプでもあるようです。
「ところで、君。『BANG!』は読んだかい??まだなら、ぜひ読むことをお薦めするよ。何故ならこれはね・・おっとそうだ!!『はじめましてのギターソロ』がまだだったね」
そう言って、いきなりギターソロを始めてしまいました。
そのソロの長いこと、長いこと!!!
(・・ま、まだ終わらないのかな)
あまりの長さに立ちくらみを起こしそうになったジョンぴーは、ベッドに突っ伏して耐えました。
ときどき起き上がっては、長命酒にキックをかましたりして「もう止めて!!」とアピールしました。が、自分の演奏に陶酔しているもじゃ髪男は気付きもしないのでした。
すっかり夜もふけて・・
さすがに長いソロに疲れたのか、もじゃ髪男はベッドで寝てしまいました。
ジョンぴーは、その隙にもじゃ髪男のパソコンから天使あてにメールを出しました。すぐになんとかしてもらわないと、耐えられなかったからです。
メールを出してしばらくすると、天使がやってきました。
「なんで天使がクレーム処理にこなくちゃなんねーんだ」
ちょっと機嫌が悪そうです。
「だいたいおまえ、なんで俺のメルアド知ってんだよっ???」
「えっ長命酒のラベルにお客様相談窓口が載ってたから・・。そこで教えてもらったんだよ」
「けっ、あいつら個人情報の扱いに注意してもらわねーと困るぜ、・・ったく!!!」
「・・すみません」
ジョンぴーは、とりあえず謝りました。クレーマーがこんな弱気ではいけません。
「で、おまえとしては、変身前のお友達に戻ってほしいわけだな??」
やや機嫌がなおってきたのか、さっきより優しい声で天使が言いました。
「うん!!方法があるの??」
ジョンぴーは藁にもすがる思いです。
天使は寝ているもじゃ髪男をチラッと見て
「こいつを夜の間に一度、土の中に埋めちまうんだよ。なーに、普通の人間じゃねーから、土の中でもピンピンしてっから大丈夫だぜ。朝にまた生えてきたときには、変身前に戻ってる。
ただ、ある事をしとかねーとまた変身・・って、もう行っちまったのかよっ(怒)」
変身前のお友達がまた生えてくる
天使の言葉を聞いたジョンぴーは、またまた矢も盾もたまらなくなりました。もじゃ髪男をベッドから引きずりおろすと、急いで庭へ引っ張っていきました。
そして・・
ものすごい勢いで穴を掘ると、速攻で埋めてしまいました。
土の中で目をさましたらしい、もじゃ髪男が叫んでいます。
「わ~なんで埋められてるんだい??」
天使の言った通り土の中でも苦しくないらしく、相変わらずの調子で喋り続けてします。
「ひどいね。これじゃ『本当は怖いQP童話』だよ。いつの世も優れた者は迫害されやすいんだ。余計な嫉妬をされちゃうからね。そもそも・・(以下略)」
「ほんとにせっかちだよな、あいつ。また注意事項を聞き逃しやがってよっ!!」
天使が今度も呆れています。
「埋めた後に長命酒をふりかけとかねーと、3日でまた変身しちまうんだがなあ・・。
あれ??長命酒がもう空になってるじゃねえか」
天使が長命酒の瓶をよく見ると、ひびが入っているのが分かりました。そこから中身が全部漏れてしまったようです。
「滅多にひびなんか入らねーはずだがな??」
もじゃ髪男のギターソロをやめさせたくて、ジョンぴーがキックしたなんて知らない天使は、首をかしげました。
「まっ、いいかこの酒が空じゃ、どっちにしろこれ以上説明したって仕方ねーしな」
やっぱり細かいことは考えない天使は、今日もそのまま帰ってしまいました。
さてさて、次の朝
不安と期待にどきどきしながら、ジョンぴーが庭に出てみると・・
ああ、良かった
変身前の「お友達」が、バラの中でにっこり微笑んで待っています。
「もう二度と摘み取ったりしないからね」
ジョンぴーは、嬉しさに頬も鼻も赤く染めながら、そう誓うのでした・・・・。3日後に待っている悲惨な運命も知らずに
そう。よい子のみなさんは、天使のセリフを思い出してください。もじゃ髪男を埋めた後で長命酒をふりかけなかったせいで、3日後に「お友達」はこんな風↓に変身してしまうのです。ああ、無情
天使「こりゃまた、クレーム処理で呼び出されるぜっ!」
おしまい
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